| ブロック『ヒュアキントスの死』 ヒュアキントスはアポロンの恋人だった。 彼はまことに端正な顔立ちの愛らしい少年だった。 古代ギリシャでは同性愛は決してタブーではない。 他の神々も時々は男同士の恋愛に目覚めたりする。 そしてこの美少年に横恋慕する男神がもう一人……。 西風の神ゼピュロス。 曙の女神エオスの子。 エオスが産んだ風の神々は、問題児ばかり。 東風エウロスはいつも不機嫌で気まぐれ、船乗りを悩ませた。 南風 ノトスは暖かいが疫病を運ぶ。 北風ボレアスは乱暴者。嵐や災いを好む。 西風ゼピュロスは4兄弟の中で一番親切。 雪を解かし、穀物を育てる優しい風を吹かす。 生まれたばかりの美と愛の女神アフロディテをキュプロスに運んだのも彼だ。 そんな彼も恋に関しては自分勝手かも知れない。 ヒュアキントスが自分よりもアポロンを選んだのが面白くなかった。 ある日、アポロンはヒュアキントスと開けた野原で円盤投げをして遊んでいた。 「さあ、行くぞ」 アポロンが円盤を投げたとき、ゼピュロスは横風を吹き付けてやった。 円盤は急に横に反れ、ヒュアキントスの顔面に激しく当たった。 少年は血にまみれて倒れ、アポロンの腕の中で死んでいったが、その血を吸った大地からは赤いアイリスの花に似た花が咲いた。 これが今日、ヒヤシンスと言われる花である。 |
![]() 元々、円盤投げは遊びではなくスポーツ。 男尊女卑の激しい古代ギリシャでは女性はあまり外には出ない。勉強も運動も男同士ですることが多かったのではと、私は考えている(そして古代ギリシャではスポーツは全裸でするそうな)。 |