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ウォーターハウス『アスクレピオスの神殿に運ばれた病気の子供』
ダフネはアポロンを嫌って月桂樹に変身し、ヒュアキントスはアポロンを残して亡くなった。
他にも片手にすくった砂の数だけの寿命を貰いながらも、青春を貰うのを忘れたシビュレーはどんどん年老いていき、予言術を授けたカッサンドラーは近い将来アポロンに捨てられることを予言したため、神の愛を拒んだ。
どうも、アポロンの恋は実らないことが多い様子。
そんな中でアポロンと結ばれたのが、ラピテース族の王の娘コロニス。
灯台下暗し。
彼女はオリンポス山の麓の国に住んでいた。
神の寵愛を受け、その腹に子を宿した。
しかし、アポロンは多忙だった。
デルポイの神殿で預言や神託を伝えないといけない。
コロニスと会うこともままならない。
アポロンは一羽のカラスをコロニスの元に送り、カラスはアポロンの思いのたけをコロニスに伝えた。
そうしているある日、カラスはコロニスが若い男と親しげに話している場面に遭遇した。
カラスはすぐさま、アポロンにその事を伝えた。
アポロンは悩んだ。
会いにいけない間、コロニスは他の男に心移りしたか、と悩んだ。
その時の様子をまた心配して見ているのが、双子の妹のアルテミス。
コロニスが浮気しているらしいと聞いて、アポロン以上に怒り狂った。
神の愛を受け入れながら、他の男に心移りするのは許せないと、コロニスに制裁を加えた。
アルテミスの放つ矢は恐ろしい疫病となって国中に広まった。
何もそこまで……、とアポロンは思ったかも知れない。
火葬の中のコロニスの腹から、まだ息のあった自分の息子を取り出した。
この子がアスクレピオスである。
コロニスはアポロン以外の男性と結婚したとも、実はカラスが見たのは単なる誤解で相手の男は親類だとも幼なじみであるとも言われている。
以降、アポロンの使いを勤めたお喋りカラスは、コロニスの喪に服するためそれまで真っ白だった羽毛をアポロンによって真っ黒にされてしまった。
アスクレピオスはアポロンによってケンタウロス族のケイロンに預けられた。
ケンタウロスといってもケイロンはイクシオンとヘラを模った雲から生まれたわけではない。
彼はクロノスとオケアノスの娘ピュリラから生まれた。
ゼウスとは異母兄弟にあたる。
血筋も良い上、非常に賢明で正しく、音楽、医術、狩、運動競技、予言の術に優れていた。
ギリシャ神話に登場する数々の英雄はほとんど皆、幼い頃にケイロンを養父としている。
アスクレピオスもその一人。
ケイロンはアスクレピオスには医術の知恵を授けた。
成長して、アスクレピオスは師を越えるほどの名医となった。
何しろ彼にかかると死んだ人間まで生き返ると言われていた。
そのせいで、ハデスの治める冥界はしばらく人口が増えなくなったと言われている。
そのころ、アテナイでは英雄テセウスの長男ヒッポリュトスが父から勘当されていた。
アルテミスの信者である彼。
愛や恋を汚らわしいものとし、言い寄る女性を退けていた。
この事に怒りを感じたのは愛と美の女神アフロディテ 。
ヒッポリュトスに片思いしていた女性たちの中には、継母であるパイドラもいた(彼女はアフロディテの術にはまったと言える)。
この物語の詳細は後に「テセウスの物語」に譲るとして、ともかくヒッポリュトスは父や女神アフロディテを怒らせたせいで、命を落とすことになる。
ヒッポリュトスが海浜を戦車をかって走るうちに海神ポセイドンの寄越した怪物に驚いて、狂った馬の手綱に巻かれて引きずられ、命を落とした。
このヒッポリュトスを生き返らせよ、とアスクレピオスに依頼したのはアルテミスだった。
アスクレピオスは既に亡くなったヒッポリュトスに治療を施して、そして患者は生き返った。
常々、死んだ人間を生き返らせることを、苦虫を噛む思いで見ていたのは冥界王ハデス。
ハデスはゼウスに訴える。
死人が出なければ、地上は人間が増えすぎて人口過多や食糧難を招くと。
それはご尤もと、ゼウスは頷く。
そして雷電を手に取ると、たちどころにアスクレピオスを撃ち殺した。
人間といっても神の子。
人間離れした才能のある子を殺されたアポロンは、悲しみそして怒った。
アポロンは直接には父ゼウスの元に殴りこみ……はさすがに出来ず、 ゼウスの雷電を作ったキュクロプスのいる鍛冶場を襲った。
何も悪いことをしていない彼らを殺した事に、当然ながら今度はゼウスが怒った。
その罰としてアポロンはしばらく人間界に下って、ペライの王の下僕として暮らせと、告げられた。
亡くなったアスクレピオスは医神として崇められ、各地にアスクレピオスの神殿が建てられた。
アスクレピオスの神殿は医学知識の宝庫となり、彼の妻や子達もそれぞれ医療の道に進んだ。
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