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アポロンの物語


ティエポロ『アポロとダイアナ』
 ある日、ゼウスはガイアとウラノスの孫娘に当たる「黒い衣のレト」という娘さんに恋をした。もうお約束だが、レトはすぐに身篭った。
 神話ではゼウス初めての不倫ではないかと思われる。
 レトが妊娠したときは、既にヘラがゼウスの妻となって久しかった。
 ヘラゼウスの愛人やその子供たちを執拗に追い詰める。
 ヘラは全世界に御触れを出した。
 それは「レトは出産してはならぬ、場所を貸してもいけない」というもの。
 こうしてレトは出産の場所を求めてさすらう事になった。
 お腹が大きくなって出産が近くなっても彼女は身を横たえる場所すらも無かった。 誰も彼もがヘラを恐れて、場所を貸さないのだ。
 彼女が最後にたどり着いた場所は当時浮島だった「デロス島」。草木も生えない不毛の土地だった。
 実はこの島、レトの妹アステリア(星女神)が変身した姿だった。
 ゼウスはレトと交わった後、妹のアステリアにも言い寄ったが、アステリアはゼウスの申し出を断った。 怒ったゼウスがアステリアを島に変身させたと言う(諸説あるのでなんとも言えませんが。
  

 それはともかく、この島は今まで沈んでいたので「この世で一度でも日に当たった場所」という条件には当てはまらない。アステリア=デロス島はレトを迎え入れ、自分の上で出産するように勧める。
 この時、陣痛に苦しむレトに付き従ったのは、ディオネ、レア(ゼウスの物語2参照) 、テミス(ゼウスの物語5参照)、海の女神アンピトリテなど。
 ヘラはその場にいなかった。 加えてヘラは自分の娘である出産の女神エイレイテュイアをオリンポス山上の黄金の雲の後ろに隠した。
 側にいる女神たちはエイレイテュイアを迎えに虹の女神イリスを使わした。
 イリスはエイレイテュイアに首飾りを渡すと(賄賂はこの時代からあったのですな)、彼女とデロス島に下りてきた。 
 レトが出産をすると、島中が黄金色に輝いたとも、白鳥が歌いだしたとも、伝えられる。
 こうして生まれた男女の双子がアポロンとアルテミスである(英語名ではアポロとダイアナ)。
 妹のアルテミスの話しは後に「アルテミスの物語」に譲るとして、アポロンは医学、数学、音楽の守り神となった。太陽神とする物語や絵画もある。
 更には予言を司り、楽人の王、神託の王、黄金の弓の支配者と数多い名を持つ。
 ギリシャの神々は基本的に「不老不死」だが、絵画では何故かゼウスディオニッソス(酒神)は中年から老人の姿で描かれる事が多い。
 しかしながらアポロンは永遠の若さを持つ青年神とされ、理想的な肉体を持つ神としてたいていは描かれる。

続く