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デメテルの物語

 バーテ「プロセルピナの略奪」

 昔、世界に冬は無かった。
 地上はいつも穏やかで暖かだった。
 デメテルはクロノスとレアの2番目の娘である。
 ガイア、レアに続く大地の女神だった。
 彼女は結婚はしていないが父親の違う子供が何人かいた。
 中でもデメテルが目の中に入れても痛くないほどに可愛がっているのが、ゼウスとの間にできたペルセポネだ。
 デメテルは娘に魔法の絵の具を与える。
 この絵の具で春の花に彩色するのがペルセポネの仕事だ。
 ある年の4月、友達のニンフと花を摘んでいたペルセポネを冥界の王ハデスが攫って行った。
 花嫁にしようとしたのである。

 

ロセッティ「プロセルピナ」

 愛娘が行方不明になったので、デメテルは半狂乱になった。
 仕事を放り出して、娘探索の旅に出かける。
 実はいつまでも独身であるハデスにペルセポネを花嫁に勧めたのはゼウスだった。
 そうとは知らないデメテルはもう大地などどうでも良いと、旅に出る。
 大地の女神に見捨てられた大地はもう何も実を結ばなくなる。
 地上に冬がやってきた。
 ペルセポネの誘拐場面に居合わせたのは太陽神ヘリオスだった。
 彼からペルセポネはハデスの花嫁として攫われたことを聞いたデメテルは更に仕事を放棄する。
 地上は飢えて渇き、人も動物も死に絶えそうだった。
 見るに見かねたゼウスが妥協案を出す。
 それは、ペルセポネが冥界で何も食べていなければ、地上に戻れるというもの。
 一方、冥界ではペルセポネがハデスにもてなされていた。
 金銀宝石を積み、優雅な踊り子や歌い手がペルセポネに用意されていた。
 ペルセポネは長いことハデスに屈しなかった。
 口もきかず、食も摂らなかった。
 しかし、空腹が彼女を襲う。
 ペルセポネはとうとう冥界のざくろを4粒食べてしまった。

 

 

レイトン「ペルセポネの帰り」

 使いの神ヘルメスは冥界に向かう。
 ヘルメスが冥界のペルセポネにあったとき、既にざくろを食べてしまった後だった。
 冥界の食べ物を口にした後はもう地上には戻れない決まりだった。
 ゼウスは再び妥協案をだした。
 ペルセポネが食べたざくろは4粒(3粒〜6粒など諸説あり)。
 それは1年のうち4ヶ月だけ冥界のハデスとともに過ごし、残る8ヶ月は母デメテルと過ごすというもの。
 デメテルもこれで納得した。
 ペルセポネが地上に姿を見せた途端、地上に春がやってきた。
 しかし今後、ペルセポネが冥界で過ごす4ヶ月はデメテルが仕事を放棄するので、冬の到来となる。
 デメテルは本来温厚な女神とされるが、機嫌が悪くなると地上には飢饉が訪れたりするのである。


続く


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