ゼウスの物語B
天地創造ストーリー

アングル『ユピテルとテティス』

 父クロノスやティタン神族を倒して全世界を治める事になったゼウス兄弟。
 ゼウスは天界と地上を、長兄ハデスは冥界を、次兄ポセイドンは海をおさめることになった。
 ティタン親族でもゼウスに味方した神が何人かいた。

 その中にプロメテウス(先に考える者)とエピメテウス(後に考える者)の兄弟がいた。
 ゼウスは彼らに地上に生物を作るように命じる。
 こうして地上にあらゆる生物が誕生した。
 人間が誕生したのはこの時。
 プロメテウスが自らの姿に似せて泥と水で人型を作った。
 そしてエピメテウスが地上に誕生した生物にあらゆる能力をさずけた。
 ところでプロメテウスというのは「先に考える者」という意味。エピメテウスはその反対。
 エピメテウスは物事を後になって考える者(ある意味、愚か者だろう)。
 彼は考え無しに動物たちにあらゆる能力を授けた。
 空を飛ぶための羽、鋭い牙、鋭い嗅覚、速く駆けるための脚、は全て畜生のために授けられた。
 人間には何も授けられず、エピメテウスは困惑する。
 これを聞いたプロメテウスは、慌てず
「まかしておけ」
 と言う。

 プロメテウスが考えたのは、人間たちに火を与える事だった。
 火があれば、暖をとることも出来るし、調理も出来る。
 しかしゼウスは人間に火を与えるのは反対した。
 そこでプロメテウスは天界の火を盗んだ(朝日の火を盗んだとも、ゼウスの息子ヘパイストスの鍛冶場の火を盗んだとも諸説あり)。

 

 天界の火を盗んだプロメテウスにゼウスは怒り爆発した。
 元々、ゼウスはこの賢すぎる神が好きではなかったのだ。
 ゼウスはプロメテウスを捕らえ、切り立つ高い山に縛り付け、毎日大鷲に彼の肝臓をついばませると言う残酷な刑罰を与えた。
 プロメテウスは不老不死の神なので、肝臓は食べられても夜のうちに再生して全快する。
 しかし翌朝にはまた大鷲がやってきてプロメテウスの肝臓をついばみにやってくる。

モロー『プロメテウスの拷問』

 プロメテウスが人間に与えた火。
 人間たちは後年、神が与えた恵みを乱用し始めた。
 武器弾薬、近年の核兵器、みんな火があるから作られた。
 プロメテウスは人間に自立と自滅を与えたとも言える。
 だからと言って、神に責任をなすりつけてはいけない。
 持てる能力を乱用したのは人間の方なのだから。

 そして肝臓。
 神でなくとも、肝臓は元々再生能力がある(限度はあるが)。
 古代ギリシャの医療で既にこの事を知っていたのだろうか。

 永遠に続くかのように思えたプロメテウスの拷問 。
 彼を救ったのはゼウスとプロメテウスが愛した人間の女性から生まれた「ヘラクレス」だった。

 ゼウスが怒ったもう一つの理由。
 プロメテウスはゼウスが自分の息子に王座を奪われると予言したが、その子の母の名は明かさなかった。

 先に言うならその子の母の名はテティス(上段絵の女性)。
 ゼウスの子ヘパイストスの養母として知られる海の女神だった。
 ゼウスのみならずポセイドンまで彼女にいれあげていたが、テティスは父より優秀な子を産む子宮の持ち主だった。

 閑話休題。
 プロメテウスの悲劇の元になったのは、弟のエピメテウスの考え無しの行為からだった。
 このエピメテウスにはお咎めなしか、というともちろんそんな事は無い。
 プロメテウスは、刑の執行前にエピメテウスに注意した。それは、
「ゼウスからの贈り物はもらうな」
 ということだった。
 しかし、エピメテウス、この男どこまでも考えが足りなかった。

 続く

 

 

 

 


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